「自分の小さな「箱」から脱出する方法」という本を読みました。
いわゆる自己啓発書なのですが、かなり人気のようです。
累計100万部売れたロングベストセラー
この本が2006年に発売されて以来、Amazonのビジネス書年間売上ランキングでずーっと15位以内で売れ続けているようです。
![]() | 自分の小さな「箱」から脱出する方法 アービンジャー インスティチュート,金森 重樹,冨永 星 大和書房 2006-10-19
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実は昔に1度読んだのですが、全く頭に残ってなかったので新たに買い直して読みなおしたのでレビューとしてご紹介したいと思います。
この本はこんな人向け
理解するのがなかなか難しい本ですが、それだけの学びがあります。
- 嫌いな人間がいる人
- ひどい上司の元についている、無能な部下を抱えている人
- 夫婦や、子供、はては友人との対人関係に問題がある人
上記のような方におすすめです。特に嫌いな人がいればいるほど、読むべき本です。
なおこの本は全体を通して1つの物語になっています。
1人のエリートビジネスマンが自分の抱える問題について上司から気が付かされ、自分を省みるといったストーリーです。
では詳しく紹介をしていきます。
全ては「自己欺瞞(じこぎまん)」から始まる
この本は「自己欺瞞」という哲学用語が出てきます。人がその自己欺瞞になった状態を分かりやすく「箱に入る」という風に表現しています。
世の中の多くの人はこの「箱」に入った状態になってしまっており、それによる様々な人間関係の問題を引き起こしています。
私がサンフランシスコで経験したこのまったく何も見えていない状態には、ちゃんと名前がついているんだ。哲学者はこれを「自己欺瞞」と読んでいる。でもザグラムではもっとくだけた言い方をしている。「箱の中に入っている」というんだ。つまり自分を欺いているときには、私達は「箱の中」にいるというわけだ。
では「箱」に入った状態というのはどういう状態なのか。
「箱」に入るとどうなるのか
人は箱に入った時に下記のような行動をとります。
- 他人の欠点を大げさにあげつらう。
- 自分の長所を過大に評価する
- 物の価値を過大に評価する。
- 相手に非があると考える。
例えば、
「あいつは自己中だ」
「俺は毎日仕事を頑張ってるのに何もやってくれない、俺は朝早く起きて毎日大変なんだ」
「あの上司はいつも俺の話を理解してくれない」
「いつも私がやってあげてるのに何で感謝してくれないんだ」
人が「箱」に入ると他者に対してこんな感情を抱きます。
もし、こういう感情を抱く人がいたらあなたはその人に対して「箱」に入っているとも言えます。つまり自己欺瞞を行っています。
人間関係の多くの問題はこの「箱」に入ることから引き起こされ、それを解決するには「箱」から出ましょう、ということです。
「箱」から出ることで上記のような感情を抱かなくなるのなら是非出たいところですよね。
人が「箱」に入る時
では人はどのような時に「箱」に入るのか。難解で理解がしにくい部分です。
自分の感情に背いた時に人は「箱」に入ります。
- 自分が他の人の為にすべきだと感じたことに背く行動を、自分への裏切りと呼ぶ
- いったん自分の感情に背くと、周りの世界を、自分への裏切りを正当化する視点からみるようになる。
- 周りの世界を自分を正当化する視点から見るようになると、現実を見る目がゆがめられる
- したがって、人は自分の感情に背いた時に、箱に入る
本書の中にあった例を引用します。
ある若夫婦がいます。
小さな子どもがおり、2人が就寝中に夜泣きをし始めました。
その夜泣きにはじめに気がついたのは旦那さんの方です。
「妻が起きてしまうから子供をあやさなくては・・・」
と、相手のことを思いやります。
ですが、眠かったり疲れていたりしてその通りには動きません。
ここで「妻のために」という他者への思いやりの感情に背いた夫は「箱」に入ってしまいます。
すると先程あったように、起きない妻を批判する感情が湧きます。
そして同時に自分を過剰に肯定する自己防衛の意識が働き、相手を攻撃しはじめます。
「俺は昼間仕事を頑張っているのに、何故彼女は怠けてて起きないんだ」
「俺は良き夫であるようしているのに、彼女は俺に対するおもいやりがない」
こんな感情を抱きます。
これが「箱」に入った状態です。
つまり相手に対して批判の感情を持つのは「箱」に入るからであって、それは自分への裏切りを発端とします。
ココ、なかなか理解しにくいです。
「相手が悪い」という気持ちの発端が「自分が他者にしてあげよう」と思った思いやりへの裏切りが発端となるんです。
このような例を引き合いに、「箱」の解説、「箱」から出る方法が物語式に書かれている本です。
まとめ
- 多くの人は「箱」に入ることで人間関係の問題を抱えている
- 「箱」に入ると人は自分を正当化するために現実を間違った目で見るようになる
- 人が「箱」に入るのは他人に対して何かしてあげたい、という自分の気持ちに背いた瞬間
- 自分が「箱」に入っていることを自覚しないと出ることができない
いかがでしょうか。
他人に対する否定の感情が、自分が発端となっていることに驚きを感じるのですが本書を読むとそれが納得いきます。
実際に私が上司とうまくいかなかったり、親との関係が悪かった時期、友人に腹が立つ時などを思い返したのですが、確かにそれらはすべて自分が「箱」に入っていた実感しました。
本書を読んで「箱」から脱出するための足がかりをつかめば、今や将来の人間関係をきっといいものに出来ると思います。
まずは自分が「箱」に入っていることの自覚からです。
驚くほど読みふけってしまう本です。
![]() | 自分の小さな「箱」から脱出する方法 アービンジャー インスティチュート,金森 重樹,冨永 星 大和書房 2006-10-19
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ではまた!